『僕たちのミシシッピ・リバー 季節風・夏」を読んだ

季節風・春に続き夏。構成は同じで短編。短編は連作になっているというわけではなく、季節を共通のテーマとしている。
数十ページの中に、夏の情景、人の気持ちの揺れ・すれ違い、切なさ、書かれていないけれど伝わってくる思い、そして温かさが詰まっている。重松節ぎっしり。性別も年代もバラバラな12人の主人公をここまでリアルに書ける才能にただただ驚く。人の気持ちをここまでわかっているなんて。この気持ちはフィクションとして読めない。
春と夏を読んだが夏のほうがより素晴らしかった。「ささのは さらさら」「風鈴」「終わりの後の始まりの前に」「タカシ丸」が特に良かった。「タカシ丸」は読んでいて涙が込み上げてきたので電車の中で読むのを止めてしまった。そして「風鈴」の悲しさ・切なさは感想が書けない。
暑い夏、動の夏に静かにこれを読み過ごすというのもいいと思う。秋と冬ももちろん読みたい。

僕たちのミシシッピ・リバー―季節風 夏

僕たちのミシシッピ・リバー―季節風 夏