『図書室の海』を読んだ

「春よ、こい」と「図書室の海」が特に良かった。「春よ、こい」は春の色が見えるかのような書き方とちょっとファンタジーな話でひきこまれた。「図書室の海」は「六番目の小夜子」の番外編として楽しめた。そういうこともあったのかと楽しめる。もう一つの番外編というか前日譚の「ピクニックの準備」は、「夜のピクニック」の中盤以降明かされるサプライズのネタバレがちょっと入っているので先に「夜のピクニック」を読んでいてよかった。
一方「茶色の小壜」「国境の南」といったゾクリとする話もあるからいろいろな話を味わうことができる。
関係ないが、春樹さんの『国境の南、太陽の西』を高校の受験期に現代文の問題として初めて読んだときは衝撃的だった。現代文の問題として載っているのでもちろん全文は掲載されず一部しか載っていなかったけど、その魅力に一部分だけで虜になった。その日の放課後本屋に行って『国境の〜』の文庫を買った。今考えると国語だけは毎回模試でも楽しかった。「偏差値をはかる問題」ではなく新しい話が読めるといつも思っていた。数学や物理は毎回決まったような展開だったけど国語だけは全く新しいものが毎回読めるので楽しかった。

図書室の海 (新潮文庫)

図書室の海 (新潮文庫)