『江戸が息づく古典落語50席』を読んだ

教えている子がどうも国語が苦手・嫌いなようだ。ましてや古典となるともう同じ日本語とは思えずただただ苦痛らしい。
国語は教科書パラパラっとめくって面白そうな話を読んで楽しむか、そんなに多くなくてもいいからちょくちょく小説読めばそれで高得点取れると思うんだけどなあ。でもさすがにそういう教え方はできないのでまずは苦手意識を消そうと思った。
古典は昔の話だけど、内容は今読んでも面白いやつはある。さすがに原文で読むとか全巻読むというのは難しすぎてできないが、私が昔習った中でも面白い話は面白かった。徒然草なんかためになる面白話が多かった気がする。徒然草の中の面白い話のあらすじをざっと言ったら興味を持ってくれたようだった。
その勢いで話が脱線してとんちや落語の話もした。とんちも落語も昔の話だけど今聞いても面白い。落語は「寿限無」「時そば」「饅頭怖い」など私が昔どこかで読んだ・聞いた定番のものを話した。細かいところまではわからないのでおおざっぱな落語になったと思うがかなり興味を持ってもらえた。
そんな話をしていたら私が落語に興味を持ってしまった。定番はわかるけどいろいろな噺は知らない。面白いからもっと知りたいと思いこの本を購入。
長く愛されてきた文化だけあってどの噺も本当に練りこまれている。サゲ(オチ)がうまい。最後のオチの一言・一文で笑ってしまう。しかも直接的な表現ではないのがいい。現代の笑いも好きだがあまりにもわかりやすすぎるのがちょっと不満。例えば「饅頭怖い」だって最後が「今度は熱いお茶が一杯怖い」ではなく「今度は熱いお茶が一杯飲みたい」だったら面白さは半減だと思う。
噺だけでなく柳家権太楼さんの視点で解説が入っているのがいい。サゲが江戸時代に流行ったものでちょっと初心者にはわかりづらいところもしっかりと解説してくれている。また、名人と言われた人たちの伝説や同じ噺の中の違いなども解説しているので落語の入門にちょうどいいと思う。
落語聞きに行ってみたいと思わせる一冊。

江戸が息づく古典落語50席 (PHP文庫)

江戸が息づく古典落語50席 (PHP文庫)