ニッポンのための、ゴジラ

シン・ゴジラ』の特典ディスクをじっくりと、じっくりと全て見たけど、本当にすごい。これだけのこだわりと準備と設備と、そして熱意があればあれだけの傑作ができると改めて感じた。貴重具合で言えば本編よりも特典のほうが高いのではないかとすら思った。


特報・予告ディスクは制作決定からTV、映画館の上映前、上映直後、上映中、BD/DVD版CM、さらにはごく一部でのみ流したものまで収録している徹底ぶり。同じようなCMが連続して流れるように見えるが、よくよく見ると細部が違う。
個人的には完成試写会の石原さとみのコメントが印象的だった。総監督の庵野さんの発言をしっかり聞こうと思っていたが、石原さとみがそれに負けないくらい熱く語っていた。作品内では本当に難しい役どころというか人どころだったけど、ものすごい情熱と真剣さで取り組んでいたことがわかる。2016年の、過去多くの悲劇を経験してきたニッポンだからこそ、この映画が上映される意味があると石原さとみがしっかりと伝わるよう話している。


メイキング系ディスクのほうは、現場メイキング、現場アウトテイク(未使用テイク集、NGテイク集、現場出しニュース・番組集)、プリヴィズリール集、プリヴィズ・特撮アウトテイク集、VFXメイキングとこれまた超盛りだくさん。未使用テイク集だけでこんなにあるの!と驚きだったし、作中ちょろっとしか流れないニュース映像も実は現実のニュース番組並に本格的にかつ長い尺で撮られていることがわかる。それでも、全ての未使用テイク集を見ると、本編はあれでよかったんだと実感する。


これらの中でも一番は個人的にはVFXメイキングだった。この細部までのこだわり、本当に気の遠くなるようなプロト作成と検証、撮影、作り込み、編集の作業をひたすらやり続けていたんだなとわかる。映画本編では見えないところまで3DCGでシミュレーションしているなんて、どこまでもどこまでも細かいところまでこだわっている。
見ていると、えっこれもCGなの!とか、ここ実写なの!ミニチュア撮影なの!、とか、ここ実写にCG混ぜてんの〜!とか、もうびっくりの連発。CGと実写の境がわからないくらいのクオリティを邦画でもしっかり作れることに感動した。
ゴジラはもちろん現実の世界には存在しないのでCGだけど、これだけ作り込まれた状態でゴジラや周りが動きそして壊れると、本当にゴジラが現実の世界に現れたと没入できる。これ、本当にすごいことだと思う。


「これは本当に2016年にゴジラが日本に現れた話なんだ」と没入できるのはなぜか、そしてなぜこんなにストーリー含め面白いのか、特典ディスクを全て見ると全てが納得できる。
そして、そして、また『シン・ゴジラ』本編が見たくなる。未だ興奮さめやらぬ。