『砂漠』を読んだ

むちゃくちゃ面白かった!読むと止まらない、止められない面白さ。読んでよかった。
主人公ではないけれど、西嶋の、西嶋による、西嶋のための小説、そんな気がした。東堂、南、北村、鳥井とそれぞれに魅力ある人物たちだけど、西嶋が一番好きだった。
西嶋に拍手喝采。照れない、動じない、熱い。なかなかズバッと言えないことを西嶋はズバッと言う。クサいな、と思えることでも西嶋が唾を飛ばしながら言うとなんだか真面目に聞きたくなる。でも実際に近くにこんな奴がいたらちょっと面倒だけど。でも北村たちみたいにどっぷり西嶋に浸かったら楽しいだろうな。
春・夏・秋・冬の構成にもちょっとした仕掛けがあって最後まで読んでニヤリとする。度々出てくる「なんてことは、まるでない。」も良かった。
素敵で爽快で、無駄な時間をいっぱい過ごした大学生活をもう一度思い出す作品だった。これは最高に面白い。

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)