格闘家ではない、ただの異常者

遅ればせながら『Dynamite!!』を見た。魔裟斗引退試合は素晴らしかった。勝った魔裟斗も負けたサワーも素晴らしかった。
ただ、全体的に見て格闘技=野蛮なイメージが付いたなあと思った。煽り合戦はいいと思う。試合後お互いを讃えれば。実際に試合後お互いを讃える光景が見られたのはよかった。三崎の試合は確かに止めるのが早すぎたのかもしれないが、一瞬ガクッと落ちていたのであれはあそこで止まってもしょうがないと思う。一度逮捕されて出直しをしようとしているのだから、例え納得がいかなくてもあそこまで詰め寄ることはないと思う。
そして青木。青木はもう二度とテレビに出なくていい。不快感だけが残った試合だった。気持ち悪い。
よく躊躇せず人の骨を折れるな。折ったことについては試合で起きたことだし相手もタップをしなかったのでこれ以上は言わないが、試合後に敗者に対し中指を立て舌を出した侮辱行為だけは許せない。骨を折りさらに中指を立てて侮辱、人間のやることじゃない。格闘家以前に人間ではない。
しかも決着直後だけではなく観客に向かっても中指を突き立てる。さらに「腕を折った」というパフォーマンス。最低の行為だ。
あの試合を大晦日に見て一般の人はどう思うのだろう。胸クソ悪い思いをして年越しになったと思う。子どもと一緒に見ていたらあの行為についてどう説明するのだろう。勝ったら何をしてもいいということなのか。
心技体の心がない人を格闘家にしていいのだろうか?学生時代後輩から高校時代の青木の話を聞いたことがあるが、他校でもその人間性の終わっている具合は伝わってきたらしい。その時はやんちゃだったんだろうとしか思っていなかったけど、その後数々の発言を聞いているうちに本当の終わった人間性の持ち主なんだなと思った。柔道推薦といえども大学出て一瞬警察にもなっていたんだから、人としてある程度はできているべきだが。
勝つと全肯定で言いたい放題、負けると泣きじゃくる。矛盾だらけで性格の悪い格闘家、人にしか見えない。
青木の周りの人間、親族などはあの試合を見て素直に喜べるだろうか。他の人に自慢の息子といえるだろうか。試合後相手に中指を立てて侮辱する息子が自慢の息子だろうか。青木が師と仰ぐ中井さんにまで迷惑がかかるのが残念だ。中井さんはもちろん知っているしお話をしたこともあるが、絶対にあんなことをさせたり煽ったりする人ではない。試合中の悪質なサミングで失明したにもかかわらず「これが判明するとVTは野蛮なスポーツだと思われるから言わないでくれ」と失明したことを公表しなかった、真に格闘技のことを考えている中井さんがこんなことを許すとは思えない。
格闘技は好きだし今でもやっているが、試合が終わったら選手同士はもちろんセコンドも含めてノーサイド。相手がいないと戦えないのだから相手に最大限の敬意を示すのが当たり前。そこまでを含めての強さだと言っても綺麗事ではないと思う。
あの試合を見て「青木みたいになりたい!」と思う子どもが増えるだろうか。
魔裟斗の素晴らしい試合も野蛮性で薄れてしまったように思われる。魔裟斗は引退、次代のヒーローも見えない、興奮があったとはいえ野蛮な場面がよく見られた2009年の試合、民放1位の視聴率とはいえども、今年は期待できないと思う。それでも視聴率が良かったからTBSは無理やりスターを作ってでも今年もやると思うけれども。
格闘技は好きだし大晦日に格闘技やってほしいけれど、このままでは悪いイメージで沈んでしまう。普段格闘技を見ない人でも年に一度見る機会があるのがDynamite!!なのに、あんな野蛮なものを見せてしまったら離れて終わってしまう。
格闘技の終わりの始まりなのかと感じてしまったDynamite!!だった。
敗者に中指を立て勝ち誇るのが格闘技ではない。悲しい。