『再会』を読んだ

6つの短編。
真面目にやっているのに、うまくいかないことがある。頑張っているのに、うまくいかないことがある。なぜだかわからないけど、うまくいかないことがある。誰もが経験したことがあると思う。決して不真面目なわけじゃない、頑張っていないわけじゃない、だけどうまくいかず自分は悩み相手は怒ることがある。子供の頃は頑張ったことで褒められることが大半だけど、大人になると頑張っただけじゃ褒められないことのほうが圧倒的に多くなる。
こんなはずじゃなかった、と思って大人になった時、どう生きていけばいいんだろう、と悩む時、この本が静かに教えてくれる。
「間違えなくても、うまくいかないこととか、どうにもならないことって、あるよ」という台詞が心に残った。理屈もへったくれもなくて、生きるしかない。
生きることは素晴らしいんだ、ということを教えてくれる作品ではない。こんなはずじゃなかった、と思う人生でも生きることがいいことなんだよ、と語りかけてくれる。
「永遠」がとても良かった。この作品で重松清の世界ががさらに深みを増し、さらに新しい領域に行ったように感じた。
「人生はブラの上を」を読んだら久しぶりにオブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダが聴きたくなって聴いた。
読んでよかった。

再会

再会