メキシコが僕を呼んでいます

寝ている間に友達から携帯に着信があった。しかも朝方。なんだと思いかけてみると明らかに酔っている様子の友人。
「どうしたの?」
「いや〜朝方うち帰ったんだけどさ〜飲みたくて電話した」
「さすがに休日5時はないなぁ。まだ飲んでんの?」
「うん〜今から飲もう」
「今日はいろいろあるから。午後『MASK DE 41』っていう映画あるけど見に行かない?」
「ん〜?どんなの?」
「プロレス好きなリストラされたサラリーマンの話」
「びみょ〜それよりハウル見に行こうぜ〜ハウル〜」
ハウルは公開されたばっかりで混んでいるっしょ。混んでいない平日の昼とかに行こう」
ハウルはいいぞ〜ハウルは〜」
「お前ハウル見ていないだろ」
「見たようなもんだ見たような」
「酔っているからいいや」
「んじゃ〜俺飲んでる〜」
かなり省略したがこんな感じの会話だった。文字ではとても表せないが、素面の人が酔っ払いと話すとめちゃくちゃ面白い。てか午前中から飲んでいるなんて。それにしても毎日晩酌の俺もかなりすさんでいるが、それ以上に悲惨だと思った。類は友を呼ぶ、酒好きばかりだ。
午前中メモリを買いに行く。事前に対応するメモリを調べておいたので特に問題なく買えた。帰宅して早速増設。64MB増えてある程度快適になったがやはりいろいろやると重い。192MBが最高だからこれ以上は求められない。まぁ前よりは良くなったからいいか。
増設が終わりレンタルした「スクール・オブ・ロック」を見た。タイトルどおりまさにスクール・オブ・ロック!単純明快で裏を読むことなく楽しめた。こういうのももちろん評価する。痛快!嘘も方便だなぁ。プロレス好きにはたまらないロード・ウォリアーズやブロディの入場テーマ曲もBGMでありノリノリで見られた。
見終わってから今度は「MASK DE 41」を見に行った。意外に女性客が多かった。
主人公の田口トモロヲの肉体改造がすごかった。前に徹子の部屋に出た時に行っていたが、撮影と肉体改造は相当大変だったらしい。40過ぎて筋肉で体重10キロ以上増やすのは並大抵の努力ではできない。肉体だけではなくロープ運動で血が出たりギロチンドロップで脳震盪を起こしたりととにかく大変なことばかりだったと徹子に話していたが、映画を見るとそれが伝わってきた。また、好きな女優である伊藤歩蒼井優が両方とも出ていて得な感じがした。
リストラ、子供の進路、親子の不仲、不倫などの問題をシビアに描きつつ話は全体的に非現実的。はちゃめちゃな展開で笑いも随所に取り込まれていた。ただ最後のまとめかたがあまりうまくなかった。後半にかけてのスピーディーな展開はよかったが、最後は無理矢理勢いでいっちゃった感じで感情移入しづらかったし最後にテーマがぼやけたような気がする。正直期待はずれだったかな。
それでも面白いところは面白かった。特にプロレスファンにはたまらない。照明が全て消えた会場内で、リング中央にスポットライトが落ち、リングアナウンサーが選手をコールする、このシーンでは頭の先まで痺れてぞくぞくっとしっぱなしだった。「後楽園ホール」「パラオ」「蔵前暴動」など思わずニヤリとするフレーズがたくさんあった。車のCMでも使われている「SKY HIGH」は永遠の名曲だなぁ。プロレスを愛している人たちが作った映画なんだなぁと思った。生前の冬木と、頚椎損傷する前の颯爽と動くハヤブサを見た時は思わず涙が出てしまった。もう映画でしか見られないんだなぁと映画の世界に入っていたのにふと現実に戻ってしまった。
映画の中で親子が手四つ(お互いに手を組み合う)で力比べをする場面があり、その時に保育園の頃親父に四の字固めをされて悶絶したこと思い出した。プロレスバカオヤジの四の字はプロレスごっこなんて可愛いものではなくまさに四の字地獄、地獄だった。我慢できずギブアップしても離してくれない。あまりの痛さにとうとうちびってしまった。それを見たおふくろがマジギレして親父を鉄拳制裁。ようやく離してくれた。今考えるとマジでありえん。その他にキーロック地獄もあった。アトミックドロップ(相手を持ち上げて尾てい骨を自分の膝に落とす)をされてケツをおさえ奇声をあげた記憶もある。
本当に大人気ない。今でいうと虐待だぞ虐待。しかし不思議と嫌な思い出ではない。ちびったのに。小さい時から身をもってプロレスというものを教えられ、体に「プロレス」を植え付けられたからだろうか。それとも「東京オリンピックよりもプロレス中継のほうが面白かった」という親父のプロレス遺伝子が受け継がれたからだろうか。
映画を見終わり家に帰るとすぐ上半身裸&ジャージパンツになってスクワットを300回やった。俺もまたプロレスバカだ。

そろそろ寝よう。明日の上映会にむけ今は仮眠程度にする。