『俺たちのプロレス vol.2』を読んだ

今回の特集は三沢光晴。三沢ファンとしては買わないわけにはいかない。
デビューから最後までを振り返ると共に10人の証言で三沢光晴という不世出の天才プロレスラーに迫っている。
高山や秋山、丸藤の証言を読み、改めて器の大きさを感じる。これだけ器が大きいのに偉ぶることも流すこともしない、そして自分の辛さや苦しさは表に出さないし八つ当たりもしない。子どもの頃に一度見て三沢に惹かれた理由がわかる気がする。こういう見せない器の大きさを自然と感じていたのだと思う。


四天王プロレスへの批判への当時の三沢の回答もきちんと載っている。四天王プロレスに魅せられ、熱狂した者としては、純プロレス・完全決着の究極の進化形として四天王プロレスを肯定したい。そしてもう二度と四天王プロレスのような限界のぶつかり合いが生まれることはないとも理解している。
極限の到達点ともう二度と見られない、ともすればしてはいけないプロレス、四天王プロレス。そのプロレスの頂点で三冠ベルトを一番巻いていた男、三沢光晴。この本を読んでますます三沢ファンになった。もうそのプロレスは見られないのだけれど。


プロレスラーとして、そして人間としての三沢光晴の魅力が周りの証言も含めぎっしりと書かれている一冊。十分、十分満足なんだけれど、あえて欲を出せば四天王プロレスの残りの二人の川田と田上の証言も入れてほしかった。無理だとはわかっているが、しかし。