『手のひらの京』を読んだ

京都を舞台にした性格の全く違う三姉妹の話。すごい惹きつけられて、でも読むのを急ぎたい感じにはならずじっくりと読んだ。
京都には学生の頃遠征で何回か行った程度で、全体を回ったことはないけれど、あの頃の風景が思い出されたり、行ったことのないところはその風景が伝わってきたりで、京都を少し近く感じることができた。それと同時に、京都独自の雰囲気や風土、意識も伝わってきた。京都は閉鎖的というと簡単だけど、簡単には表現せず三姉妹と目線と感情で京都の空気を伝えてくれるのがうまい。
三姉妹はみな性格が違うけど、長女、次女、三女の誰にも魅力がある。自分の場合奥手で臆病な長女の行動に深く頷き、勝ち気で恋愛も職場も我が道を行く冷静な目を持つ次女に憧れ、京都が嫌いになったわけでも東京に憧れを抱いているわけでもなく純粋に一度ここを出て外に行ってみたいという三女の思いに共感した。
面白い、こんな雰囲気を持った作品もっと読みたい。


手のひらの京

手のひらの京