『君って』

レコーダーに残っていた「震災遺児」というドキュメンタリーをたまたま見返した。3・11から9ヶ月後の2011年12月に放送された番組で、東日本大震災で親を失った子どもたちの姿が撮られている。


中でも両親と兄弟を失った8歳の女の子は今見ても辛いものがある。
一度に家族全員を失い、おじいちゃんおばあちゃんのところで暮らしているが、震災直後に泣いた後は泣かなくなり、家族のことも口に出さなくなったという。家族のことを思い出して泣くのではなく、思い出さないようにしているその姿は本当に胸がしめつけられる。


その女の子が最近歌う曲として西野カナの『君って』が挙げられていて、女の子が歌う姿が放送されていたけど、この女の子はこの曲を恋愛の歌ではなく家族の歌と思って歌っているんだなと気付かされ、この曲の見方が全く変わった。

どうしたの?らしくないね
暗い顔して
一人じゃどうしようもないことも
二人なら怖くないって言ったでしょ


君って 君って
泣いたりしないんだね
思い出してごらんよ


女の子が曲中のこの部分を歌う姿が写されていたけれど、この曲の中に泣かない自分を投影し、家族がどこかで見ていてくれているから一人じゃないと思っているのかなと感じた。そしてものすごく悲しくなった。何も悪いことをしていないのにある日家族がいなくなるなんて。
これを見て以来西野カナの『君って』がさらに大事になった。


この番組が放送されてから約5年。この女の子は13歳だから中学生になっていると思う。今どうしているのか気になる。プライバシーだからやたら追跡しろとは思わないけど、少しでも本人にとって幸せと感じることが多い日々を過ごしていてほしいなと思う。
5年経って自分の中でも被災地への意識が薄れてきたけど、やっぱり東北は忘れられないし改めて何か向き合わないといけないと思った。東北はいいところ、間違いない。