『女であること』を読んだ

思うがままに生きるさかえ、誰にも言えない重い荷を背負う妙子、典型的な女性像ともいえる市子の三人が中心となって綴られる話。
その中で特にさかえが目立ち、翻弄される。しかし悪気はない。純真に自分が思うがままに生きている。したいことをして、したくないことはしない。自分に正直で、感情的で、自然に生きるさかえがある時はは憧れのように映りある時は悪意の塊に見える。憧れる時は妙子と市子が暗いじめじめした、主張のできない存在に見え、逆に悪意の塊に見える時は妙子の誠実さと市子の凛とした姿に魅せられる。
しかしやはりさかえにひかれる。しつこいとも思える行動や相手を傷つけるような言動も、打算のない純真な女の気持ちだから嫌いになれない。嫉妬さえ美しく思えてしまう。
内容の素晴らしさに驚いたが、それと同時に日本語の美しさにも驚いた。この日本語の美しさ癖になりそう。

女であること (新潮文庫)

女であること (新潮文庫)