これも読書の楽しみの一つ

電車の中でたまたま前の人の本が目に入った。そこで見えた一文がちょうど章の始まりで「丁度、これが百話目で御座います。」。
文庫でも目立つその分厚さ、残りページがわずかでその一文。これは『後巷説百物語』だ。わかった瞬間とても嬉しい気持ちになった。
基本的に本は一人で読むものだが、面白い本、熱くなった本、感動した本などは読後共有したいと思う時がある。こんな素晴らしい一冊自分だけではもったいないと思う。だから今日電車の中で『後巷説百物語』を読んでいる人を見かけた時はとても嬉しかった。そうそう、これ面白いんだよ、と心の中で思っていた(その人は読後面白いという感想を持つかはわからないが)。
勉強のためだとか役に立つとかで読んでいるわけではなく(そのせいか新書系にはあまり手が出ない)、好きだから読む、という姿勢は変わらないが、その好きが誰か他の人も持っているところに居合わせるととても嬉しい。自分で読んで楽しむ以外に自分が読んで楽しんだ作品を誰か他の人も読んでいるという体験をするのも読書の楽しみの一つだなあと思った。
やっぱり本はいいねえ。
そんな電車の中で本を読んでいる人が気になったが、と、同時に本の重さも気になった。文庫といえどもその厚さは重いよなあ。その重さも、わかるわかる、と共有してしまった。