『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』

コロナ禍で大きく変わった世の中で桑田佳祐が聴けてよかった、そう心から思える作品で、全曲スルメ曲となっていて、発売から1ヶ月以上経った今も頻繁に聴いている。久しぶりに、本当に久しぶりにじっくりと曲を聴こうという気持ちになっている。
ごはん、味噌汁、海苔、お漬物、卵焼き、梅干しの6品がこのEPの6曲を指していると思うけど、どの曲も日本人にとって必要でお腹いっぱい満たされる内容になっている。


・Soulコブラツイスト〜魂の悶絶
一曲目のイントロがこのメロディ、この元気さ!かけ始めていきなりテンションが上がり元気に笑顔になれる。意図的かどうかわからないけど、これをコロナ禍が続いた中での新作一発目に持ってきたのがすごいし、桑田さんの聴く方への最大限の優しさかなと思う。とにかくいい、ノレる。ただ、歌詞は切ない、でも最後まで聴くと希望がある。明るい曲調で悲しい歌を歌う、ソロデビューの悲しい気持ちから変わらない優しさがあるなぁと思った。


・さすらいのRIDER
コブラツイストから一転、落ち着いた雰囲気に変わり、しっとりとブルース風に染み渡ってくる。サビの切ない伸びる部分がたまらないけど、それを引き立たせるための伏線となっているAメロが特にいい。自分がもっと歳を重ねて、ゆっくりと夜に飲む日が来たらこの曲はさらに良く聴こえる気がする。


・SMILE〜晴れ渡る空のように〜
本来なら2020年の東京オリンピックに流れていたはずの曲が、2021年になった。当初はオリンピック選手への励ましの言葉だったと思うけど、コロナ禍でこの曲の歌詞が全ての人を励ますように聴こえるから不思議。感染爆発中にはこの曲は自分を励ますためにも聴いていた。1年ずれたことでオリンピックソングを超えてしまった。


・金目鯛の煮つけ
SOMPOのCMで発表され、その後やさしい夜遊びでフルに流された時から大好きな曲。子どもの頃の夕暮れ時の風景がなぜか浮かんできて、でも歌詞が入ってくるとそれが現実のいろいろな大変な大人の毎日に変わる。
悲しくて切なくて、胸にせまってくるサビの世界に少し浸る時間がたまらなく貴重で愛おしく思える。そして最後に「夢も希望も胸の奥で燃えている」と来るサビでその悲しみに浸る時間から元に戻れて、ほんのりと心に温かいものが残っている。優しい、ありがたい。


・炎の聖歌隊[Choir]
今回の全国ツアーのために作ったでしょ!絶対ライブ一曲目にやるでしょ!な一曲。爽やかなイントロとテンポいい始まりがサビまで軽やかに続き、そして「開演お待ちどうさん」のサビになる。ハズレたけど嗚呼ライブで直接聴きたかった!ちなみに、この曲だけをリピートしてランニングするとアドレナリンが出まくって普段より疲れずに長く走ることができる。


・鬼灯
EPをしめるのがこの曲だけど、前5曲と全然違った曲調で、改めて桑田さんの懐の深さを感じる。大人しすぎない、でも静けさが漂う鬼灯で終わるというのがとても良い。


このごはんEPをずっと聴けることの幸せなことよ。素晴らしい一枚になっている、ありがとう。