タイトル『死ねばいいのに』が6つの話の全てで効果的に使われている。
被害者の話を聞かせてくれと言うのにみんな自分のことを話す。みんないかに自分は悪くないか、いかに自分は不幸なのかを語る。なぜなのか。本当に被害者のことを知っている人は誰もいないのか。
犯人は読み始めてすぐにわかる。それでもこの被害者と被害者に関わった人はなんなのかが気になって読み進めてしまう。京極作品にある「動機はない」という結末になるのかなと思っていたが最後の最後で結論はしっかりと書いている。それがあまりにも真っ直ぐで暗いため余計にショックを受ける。
人間の心の暗い部分が出ている。聞き手が軽いだけに余計に話す側の暗い部分が見えてくる。一番深く暗いのは登場人物でも犯人でもなく被害者だったのかもしれない。
- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/05/15
- メディア: 単行本
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