『どすこい(仮)』を読んだ

力士が必ず中心になって出てくる7編。それも『四十七人の力士』や『パラサイト・デブ』など有名作品の名前をもじったタイトル。
『パラサイト・イブ』(パラサイト・デブ)、『すべてがデブになる』(すべてがFになる)、『リング・らせん』(土俵(リング)・でぶせん)、『理由』(理油(意味不明))は読んだことがあるが、元ネタを知っているからといって特にパロディ側が楽しめるということはないから、未読でも全然問題ない。一応元ネタのような設定もあるけれど、そんなことは関係ないくらい壊れた力士の世界になっている。
京極作品の中では異色も異色。本の厚さ、デカさも「どすこい」といった感じ。「地響きがする―と思って戴きたい」と「怒らないで貰いたい」の二言ですむといえばすむ。いきなりこれを読んだら「なんだこりゃ?」と思ってしまうかもしれない。京極作品と作者を知ってこその面白さだと思う。京極堂シリーズや巷説百物語シリーズのように頭をフル回転させて難しく考えながら読む必要は全くない。ハチャメチャ具合を何も考えず楽しむのが一番。
「頭捻り(ずぶねり)」が気になってしょうがなくなってしまう一冊。

どすこい(仮)

どすこい(仮)