自分のためか生活のためか

妹が今の仕事を辞めるらしい。辞める理由は「仕事の給料では生活できない」とのこと。現在仕事+バイトの生活をしているけれど、その稼ぎでは間に合わず親から月々仕送りをしてもらっているが、この状態が今後も続くことから辞めて他の仕事を探すらしい。
仕事は不規則なうえ拘束時間が長い。もちろん残業代がつくことはない。仕事が入らない時は長く入らないのでバイトもしているが、バイトばかりの状態になっては本末転倒。仕事でしっかり稼ぎたいのにバイトのほうが規則的にできるから稼げるという現状。
「仕事が嫌」だとか「人間関係が合わない」とかではなく、「生活できない」というのが仕事を辞める理由というのが残念でならない。仕事が好きなのに辞めざるをえない状況。独り立ちできずに親の援助を受けるのが本人は許せなく、好きだけど辞めてしっかり生活できる仕事を探すらしい。「好きだけど辞める」が辛い。
「好きなことは趣味にとどめておくのがいいんだよ」という妹からのメールが重かった。妹だけど自分より先に社会に出ているので、社会生活のそこらへんはシビアにとらえているのだと思う。それでも、そんなことを思わせてしまう社会は嫌だなと思った。
もちろん社会は厳しいのだから全てうまくいくわけはない。華やかな業界だから、それだけ人が集まる。その中で成功するのは一部。ほとんどが成功しないし使い捨てである。お金の面でいったら一番上がもっていく。と、いうより一番上だけが儲かる。例えば『あるある』で露呈したように本体だけが儲けて下請け、孫受け、曾孫受けには落ちてこない。妹はテレビ業界ではないが、構造はテレビ業界と同じで、仕事をしてもハネられてハネられてほとんど給料にならないらしい。本当に好きでなければやれない仕事だと思う。一発当てれば一気に上に上がるけど、誰もが当たることはない。
兄も一応社会に出たので今度ご飯でもご馳走しようと思ったら仕事とバイトでしばらくは時間がないらしい。それだけ働いているのに独り立ちできない現状が重い。
厳しい世界だから全員が成功することはないし、妹に才能がないということも考えられるが、兄としては妹ではなくそういう構造の業界や社会に問題があるんじゃないかと思ってしまう。普段はお互いいがみ合って嫌いあっているけれど、なんだかんだいって兄妹ってのは世の中で他にいないわけで、どこかで妹に甘くなってしまう。
まだ若いのに自分の一番好きなことを諦めないといけないなんてむごすぎる。一番好きなことを諦めることも、そこから次にいくこともものすごくエネルギーを使うと思う。
「働いても生活できない」「好きだけど辞めないといけない」「好きなことは趣味程度がいい」―これが社会なのか。そんな社会おかしくないか。