『人のセックスを笑うな』を読んだ

この小説を読む前にナオコーラ氏のエッセイのような連載を毎週読んでいた。とても鋭い感性を持っている人だなと気になっていた。
最近読んだ本の中では一番読後感が良かった。爽やかで、ちょっと沈んで、でも爽やかで。
なんというか、何が良いとか書きづらい。感覚で読むという言い方が一番合っていると思う。感覚を刺激する。感情が感覚で伝わってくる。読んでいるときは感覚だけど、読み終わった後は終盤のオレとユリの気持ちなど細かな部分について考えたくなってくる。感覚と思考で一度で二度読める本だった。最近感じることのなかった読後感だった。
「ぶらぶらと垂らした足が下から見えるほど低い空を、小鳥の群れが飛んだ。生温かいものが、宙に浮かぶことが不思議だった。」
「目を強く押さえると、カミナリが見える。」
「『会えなければ終わるなんて、そんなものじゃないだろう』」
といった表現も気に入った。
他の作品も読みたいと思った。

人のセックスを笑うな (河出文庫)

人のセックスを笑うな (河出文庫)