『すばる7月号』の『AMEBIC』を読んだ

金原ひとみの最新作。『蛇にピアス』『アッシュベイビー』で『AMEBIC』。三作目の作品。
出だしからアミービックな文章。最初はなんじゃこりゃと思った。ものすごくとっつきにくい。なぜアミービックな文章なのかはその後すぐわかるが、ここで「ダメだ」と思ったらもう読まないほうがいいと思う。
中だるみという感が中盤にあり、そこから話の展開があってまた別角度の思考と感情があるが、最後は尻すぼみのような状態になる。盛り上げる必要はないと思うが、最後らしい締めというものが欲しかった。それは前作『アッシュベイビー』でも感じられた。『アッシュベイビー』は正直それ以外の面でもひどい感じがしたが。
ほぼ同年代というせいもあってかそれでもものすごく損した感じにはならなかった。タイトルどおりアミービックな文章あり、主人公の思考回路にアミービックな部分あり、相変わらず下な表現あり、ところどころに笑える部分あり。金原ひとみの作品は読む人を徹底的に選ぶ、限定している。嫌悪感を抱く人すらいるだろう。
芥川賞作家の作品として見ると物足りない。哲学的な表現も使われているが、それでも幼さを感じる。でもものすごい個があるからついつい読んでしまう。
『感情の淡々とした疎と爆発的な密』『渇き』が強く感じられる作品。


すばる 2005年 07月号

すばる 2005年 07月号