『菊の門』

じゃなくて『恋の門』を見た。
普通とは違うラブコメディーだとは知っていたが、かなりズレていた。はちゃめちゃな話なのだが、それをカメラワークなどの映像技術で過剰に演出するのではなく、話の展開を重視してうまく表現している。
マンガ芸術家であることとコスプレ好きであることを始まってすぐにスムーズに説明できたのがよかったし、そのおかげですぐにその異質な世界に入れた。
夢に賭ける芸術家と夢にすがる芸術家の話だと思った。どんなに否定されても自分の夢の可能性を信じていて夢を追えるってのはいいなあ、と映画の世界の人物に感心してしまった。同じ生き方はとてもできないが。
門も恋乃もかなりズレていておかしいのだが、だんだんとそのズレが普通であるように思えてくる。二人とも特殊な人物だけど、それを同じようには見せず、うまく特徴づけされていて、お互いの感情がよく伝わってきた。
ラストシーンがどうも「完結した」という感じがしなくてちょっと消化不良だった。あれだけ濃い世界観なのに最後は薄い感じがした。
原作者の羽生生純の作品は、作画担当の『ファミ通のアレ(仮題)』を昔読んだことがあるが、かなり濃いタッチだった。話の中身はもうかなり前のことなのでそんなに覚えていないが、絵はすごい濃かったことを覚えている。映画でこの濃さなのだから、あのタッチで描かれるマンガのほうがさらに面白いのではないかと思い、原作が読みたくなった。