『悪の教典』を読んだ

久しぶりに恐ろしい小説を読んだ。
上巻で共感という感情が欠落している蓮実教師の裏の顔をじっくりと知らされ、そこで植えつけられた恐怖が下巻で一気に増幅する。上巻の最後に書いてある「ポイントオブノーリターン」、折り返し不能地点という表現がぴったりだった。下巻は恐怖につぐ恐怖。ちょっとした綻びを隠すためにここまでのことをするとは。
上下巻で800ページを超える量だけれど、冗長さや長ったるさは感じなかった。章ごとのまとまりと次に何が起きるのだろうという期待感が絶妙で、読むのを止めずずっと読んでいた。
終わり方の後味の悪さに読み終わっても恐怖を感じる。嫌な、消化不良な終わり方ではなく、とことん後味の悪い終わり方。これでも終わらないのか、続くのかという恐怖。

悪の教典 上

悪の教典 上

悪の教典 下

悪の教典 下