『落下する夕方』を読んだ

付き合っていた男性に突然の別れを言われ、その男性の新しい恋人と一緒に暮らす。
そんな不思議な設定のある一つの日常を切り取っている。入ってきたものが異物だったのに、だんだんと自分を、生活を構成する要素になっていく過程にある種の魅力すら感じてしまう。登場人物だけではなく、読んでいるほうもまた華子に会ってみたい、と思ってしまった。
終盤の展開はああでもしないとこの作品が終わらなかったと思う。
気持ちに余裕がある時に、このゆっくりと時間の流れる作品を読むのがいいと思う。いい意味でテーマというもので括りづらい作品。

落下する夕方 (角川文庫)

落下する夕方 (角川文庫)