『かぞえきれない星の、その次の星』を読んだ

11のさみしさと、そこからの希望を書いた作品。


現代の話がほとんどのため、コロナ禍での生活という設定が多い。人と会えない、触れあえない、今までできていたことに制限がかかる、そんな辛さとさみしさが重松清節に乗って描かれている。コロナ禍以外の設定の話でも、人間や普段の生活の中にある小さなさみしさがいっぱい拾われている。


送り火のあとで」と「ウメさんの初恋」では不覚にも泣いてしまった。全くそんなつもりはなく読んでいたので、突然のポイントに目頭が一気にやられてしまった。ほんの少しの気持ちや言葉が人を温かく、優しくしてくれる。
「コスモス」はあまり普段自分が考えないことについて取り上げられていて、今後はそういう部分にも気持ちを向けないといけないんだなと思った。ただ、主人公の母親の考え方と明るい振る舞いはサイコーにかっこよかった。これくらいポジティブでシンプルに物事を考えたいな。


現実世界にさみしさはいくらでもあり、そこから目を逸らすことはできない。でも、その中やその先に必ず希望はあるんだとこの作品を読んで思えた。本は現実世界の自分に多くのことを教えてくれる。