『ナオミとカナコ』を読んだ

夫からのDVに悩む親友の姿に耐え切れず殺害を計画。女性が集まって殺人というと『OUT』を思い出すけど、こっちは二人の関係に重きを置いている。


「殺人」ではなく「排除」と言葉を言い換えて計画を進めていく二人。殺人なんて決して許されないけれど、カナコのDV被害を聞くにつれ、ナオミのカナコを救い出したいという打算抜きの本当の友情を感じるにつれ、読んでいる自分がいつの間にか二人を応援しているような気持ちになる。三人目の共犯者として読み進めていく感覚に陥る。


一見完全に夫を失踪させられるように思えるが、これは稚拙では、ここ甘いんじゃ、と思えるところが後半徐々に露呈してくる。それが読んでいてますますハラハラさせられる。小説なのだから劇的な展開や予想だにしない結末があったほうが面白いのだけれど、これだけ読んでいると二人に何も起こらず静かにこれからまたナオミの生活、カナコの生活が続いてほしいと思ってしまう。ここまで思ってしまうということは作品の世界にすっかり魅了されているのだと思う。自分も共犯者。とにかくバレないでほしい、バレても捕まらないでほしい、犯罪者の二人に対しそう思ってしまう。


終盤はドキドキの連続で、緊張した状態でページをめくっていた。嗚呼もうダメか、いや、助かったの連続で、最後の100ページは読むのを止めずにはいられない。最後の4ページで緊張は極限に。完全に共犯者になっているので、犯罪者なのだけれど二人には二人の希望する未来になってほしいと悲痛な思いに駆られる。ラストの先の話も読みたいと思う人もいるかもしれないけれど、個人的にはここで終わるのでよかった。この二人は本当に親友で、本当にお互いを思っている。だから祈らずにはいられない。

ナオミとカナコ

ナオミとカナコ