『日曜日の夕刊』を読んだ

名作。傑作だ。間違いなく素晴らしい。
12の短編小説。どれも現実の世の中のどこかで起こっているような話。どれも心にチクッとくる、どれも明確な答えは出ていない。だけど最後は暖かくなる。
とにかく読んでほしい。内容を知らずに読んでほしい。だからあまり内容については触れたくない。
だけど自分が気に入った話だけは記したい。
『チマ男とガサ子』
『寂しさ霜降り』
『さかあがりの神様』
『すし、食いねェ』
が特によかった。12全てにはずれがないんだけど、その中でもこの4つは特によかった。
誤解を恐れず言えば重松清は汚い人間なんだと思う。わがままな気持ちやずるい気持ち、わかっているけど素直になれない気持ちがわからないとこの小説は書けないと思う。そんな気持ちがわかっている、持っているからこそ重松清はこのような小説が書けるのだと思う。そんな重松清がたまらなく魅力的だし重松清が生む小説がたまらなく好きだ。
心が汚いなあと思う人ほど読んでほしい一冊。12の話のどれかに自分がいる。心が綺麗な人が読んだら「こんなの当たり前じゃん」と思ってそれで終わりだと思う。
また大切にしたい本が一冊増えた。

日曜日の夕刊 (新潮文庫)

日曜日の夕刊 (新潮文庫)